前回までの流れ。
タイムリミット目前で。
その数時間後、ベッドの隣で彼が突然つぶやいた。
「ご両親に挨拶に行かないとね。俺の両親にも紹介したい」
……?????!!!
山が動いた。
その言葉に迷いはなかった。
数時間前とエライ違い。この数時間のうちに決心が固まったみたい。
え、いったい何が起こったの……!?
私のほうの心の準備は……大丈夫、心は固まっている。
何があっても彼について行く。彼を信じられる。
今の私なら、彼の言葉を受け止められる。
かつて欲しかったプロポーズを突っぱねた、苦い経験を持つ。
一度、傷つけてしまった心は二度と返ってこなかった。
でも、今の私は違う。男の人をもう試さない。もう突っぱねない。
素直に幸せを受け取っていいよ!
私は慌ててベッドから起きて、「いつにする?」と尋ねた。
後は進めるだけ。
それから15分もしないうちに、向こう半年の予定がバタバタと固まった。
両親へのあいさつ、入籍、挙式……。
ああ、とりあえず、私、本当に結婚するみたい。
ずっとしたかったけど、私には無理だと思っていた結婚。
その瞬間は突然やってきた。
あまりに突然すぎて、何だか不思議な気持ちだった。