稽古場で具合が悪くなったのは投影?毒親育ちの孤独感「ドーナツの穴」が芸術となった時【ハムレットから思うこと①】

舞台「ハムレット」を観た感激、まだ収まっていません。

そして、今だから書けることを、書きます。

 

実は先日、稽古場でインタビューさせていただきました。

その後、稽古場を見ていた所、私は”何か”に当たってしまい、回復に数日要しました。

 

私はカウンセラーとしては、クライアントさんに共感しながらも、客観的に見ることが得意です。

結構、癒着キツめの方が来ても、割と平気なタイプです。

ただ、今回の「ハムレット」は毒親育ちの“テロ”という解釈。

ハムレットが親から満たされなかった寂しさ、孤独感が、物語を進める鍵であり、莫大なエネルギーともなります。

そんな強大で危ういエネルギーが今回の稽古場にたまっていたのです。

また今回の脚色・演出は、演出家・斉藤敏弘氏自身の悩みも重ねられています。

大好きなのに大嫌いな母。そんな母と向き合えない気持ちが暴走する悲劇。

今回の演出版は、まさに斉藤氏の心象風景ともいえるのです。

 

人に囲まれているのに孤独感を覚える。師匠のカウンセラー・根本裕幸さんはそんな心理状態を「心のドーナツ化現象」と呼んでいます。

斉藤氏にインタビューしている最中、”ドーナツの穴”が見えた気がしました。

そう、私が当たった”何か”の正体は、きっとこれ。

その底知れぬ闇、強大な引力を抱えた底なし沼。久しぶりに「や、やばいぞ!」と思いました。

 

でも、これは心理的には私自身の「投影」なのかもしれません。

(※投影=自分自身が切り離してしまった感情が、外の世界に映し出されること)

私もかつては毒親と直接対決をした身ですから、そのエネルギーがまだどこかに残っている。

あるいは、まだまだ癒しきれない、孤独な気持ちが心の底に眠っているのかもしれません。

親と対決していた頃は、刃物があったら本当に刺してしまいそうで、正直怖かったです。

対決前には「安心安全な方法で戦う」と自己暗示をかけてから、実家に行っていました。(その結果、父親の頭の上から、麦茶をどぼどぼヤカンから注いだりしました)

 

インタビューですでに疲労していましたから、観劇の際は正直「大丈夫かな?」と思いました。

この巨大な負のエネルギーを「ハムレット」に乗せて成立するのか?

「ハムレット」とは名ばかりの斉藤氏の自伝、別の物語になりやしないか?

ところが、毒親育ちの強大な負のエネルギーが、シェイククスピアという骨太な古典作品の上に乗っかると、あら不思議、

ドーナツの穴が、身を切り裂くような孤独が、ハムレットというキャラクターの強烈な個性となり、

人々の共感を呼び、心を震わせるのです。

 

私のクライアントさんは芸術家系、クリエイターさんが結構いらっしゃるのですが、

皆さん、抱える孤独感、”ドーナツの穴”がデカいのなんのって!

でも、それこそが、創作の原点になるんですよね。

寂しすぎる思いをしたからこそ、普通の人とは比べものにならないくらいの、空想・妄想の世界を構築することができる。

そうして、自分が創り出した新たな世界を媒介にして、再び人とつながることができる。

「創作、芸術を通じて世界と人とつながろう」

「芸術家、クリエイターだからこそできる心の癒しもあるよ」

アーティスト気質の人たちに、私はそう提案しています。

 

今回の「ハムレット」はまさに毒親育ちの”ドーナツの穴”が、見事に世界とつながった作品となりました。

私が観劇した回は、終盤にかけて、舞台と客席の雰囲気がピりりと引き締まっていき、

最後は観客から役者まで、全員の呼吸が合っていました。

途中で寝ていた方も、終盤見入っていました。泣いている若い女性もいました。

さらに、今回の主演の飛田竜之介は、ハムレットと同じような虚無感、心の闇を抱える等身大の青年。

ハムレットの”ドーナツの穴”を、見事に表現してくれました。

今回の演出版では、ハムレットは孤独な心を抱えたまま、死んでいったようにも見えます。

でも、孤独なんだけど、孤独じゃない。

役者も、演出家も、観客も、ハムレットの”ドーナツの穴”でつながった。

見守り、共感し、ひとつになった。

膨大な負のエネルギーが、感動と共感に昇華されるミラクル。

演劇って、芸術って、本当に面白いなあと思います。

素晴らしい演出・潤色を見せてくれた斉藤氏、そしてMPSの役者さん、スタッフさんに、心から拍手を送ります。

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テツコハナヤマ
毒親育ちが、ロックマンしか愛せず音信不通に苦しむ日々を卒業し、誠実な癒し系の旦那様と結婚。コロナ禍で出産し、産後クライシスに荒ぶりながらも「毒親育ちが居場所を見つけて、ライフワークと家族と生きる」日々を発信中。根本裕幸氏のお弟子さん1期。 詳しいプロフィールはこちら。