「麒麟がくる」最終回を前に。カウンセラーとして注目していた信長と帰蝶の関係。

1年2カ月、追い続けた大河ドラマ「麒麟がくる」がいよいよ最終回を迎える。

BS放送は見逃してしまったので(18時からだと思っていたら、最終回なので15分前倒しになっていた!トホホ)

20時からの地上波放送に向けて、待機している。

今日は終日忙しかったが、頭の中は「キリン」が駆け巡っていた。

キリンレモン、キリンビール、キリンのおもちゃ。何を見ても、キリン、キリン。

車に乗ってもテーマソングが頭の中を駆け巡り、登場人物たちの姿がチラついた。

織田信長と明智光秀という歴史上でも一番好きな題材を池端俊策という大好きな脚本が描く。

放送が始める前から私はこの大河ドラマをとても楽しみにしていた。

初回放送では確かな手ごたえを感じていた。
「麒麟がくる」第1話つぶやき。麒麟というテーマが格好いい。最新知見を取り入れた正統派大河ドラマ。

正直、放送中盤は中だるみ感があって、見るのをやめようかと思った。

信長上洛までなかなかたどり着かず、このまま続けても終わらないんじゃないの?と不信感を抱いたことも何度もあった。

しかし、その度に「池端御大が、きっとなんとかしてくれるはず」と思い直し、視聴を続けてきた。

その通り、最終回に向けて、終盤は尻上がりに面白くなり、盛り上がりをみせている。

朝廷黒幕説、秀吉黒幕説、家康黒幕説、四国討伐のいざこざ説、パワハラ怨恨説、もはやどの説が来てもおかしくない。

また、この一週間、「物語は意外な結末」などと最終回にまつわるニュースが流れている。

コロナ禍の撮影延期などで、まとまり切らない部分もあるのだろう。

ただ、どんな結末を迎えても、私はこの物語を受け止めようと思っている。

唯一惜しまれるのが、川口春奈演じる信長の妻・帰蝶の登場の少なさだ。

彼女は降板した沢尻エリカのピンチヒッターながら、この役をのびのびと演じ、見事に自分のものとした。

私は当初、この物語のきわめて心理学的な要素に着目していた。

それは、ロックマン(辛い経験により心を閉ざした男性)である信長を、帰蝶と光秀が親代わりとなって「育て直し」をするという、設定だ。

私のカウンセラーの師匠・根本氏は、ロックマンな男性と安定的なパートナーシップを築くには、女性がその男性を育て直すような行為が必要であると説いている。

「麒麟がくる」はそんなロックマンを育て直す過程が、1年を通して見られる稀有なドラマになるのではないか、と期待していた。

さらに、このドラマの面白いところは、帰蝶が母親の代わりになるだけではなく、光秀が父親代わりとなるという設定だ。

帰蝶が心の安全基地となり、光秀が将来のビジョンを示し、コーチのように導く。

そうやって2人が母親から愛されず心が少年のまま止まっていた信長を育て、尾張のいち武将にとどまらず天下を目指す武将に育てあげる、というからくりだ。

光秀が信長を要所で導くシーン(まるでコーチング!)は随所にちりばめられていた。

しかし、新型コロナで撮影が中断した影響なのか、川口春香の出演シーンは激減し、信長と帰蝶の関係はほとんど描かれなかった。

つまり残念ながら、帰蝶が信長を育て直す過程は、ほとんど見られなかったのだ。

そんな中でも、川口春奈は出演シーンが少ない中で、その間に何があったのか視聴者に豊かに想像させるような、演技を見せたのだ。

女王として母として信長をリードし、女性としての魅力にあふれながら、信長との関係に大変苦労した様子が垣間見られたのである。

目を患った帰蝶が、日の光を眩しがる演技は、秀逸だった。

父の道三が光秀に示した大きな国という光。

その光に向けて突き進んだ信長と光秀の関係が、今や破綻しようとしている。

物語の核たるシーンを憂いを帯びながら、見事に演じてみせた。あっぱれである。

最終回でも川口春奈がどんな演技を見せてくれるのか、そして信長と光秀の関係がどんな風に終止符を打つのか、カウンセラーとしても、楽しみだ。

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テツコハナヤマ
毒親育ちが、ロックマンしか愛せず音信不通に苦しむ日々を卒業し、誠実な癒し系の旦那様と結婚。コロナ禍で出産し、産後クライシスに荒ぶりながらも「毒親育ちが居場所を見つけて、ライフワークと家族と生きる」日々を発信中。根本裕幸氏のお弟子さん1期。 詳しいプロフィールはこちら。