カウンセラー・根本裕幸さんのお弟子さんになって、初めての講義後、結構な量の宿題が出ました。その一つが、割り当てられたグループメンバーとのカウンセリング練習。カウンセラー3回、クライアント3回。1回45分。
メンバーそれぞれ仕事があり、遠方に住んでいる人もいるので、お互いに予定を合わせて会うのはなかなか大変。メッセンジャーなども利用して、何とか回数をこなすことができました。
クライアントになった3回とも、私は「弟の結婚式に行けなかった騒動」について相談しました。両親にパスポートを捨てられて、弟の結婚式に参加できず、その後弟から「結婚式を台無しにされた」と抗議されたこと。弟が父のようなモラハラ発言を繰り返したため、ショックだったこと。仕事が手につかず、落ち込んだ状態が続いていること。来年海外で働こうと考えていたのに、この状況では応募が間に合わないこと……。
まずMさんはじっくりと私の話を聴いてくれて、問題点を整理してくれました。これだけで、ずいぶんと気持ちが楽になりました。
次のYさんは、私がいかに家族や弟に愛情を注ぎこんできたか、悩むのは自分の愛情深さゆえと、気づかせてくれました。
そして、3人目のHさんで、隠れた問題が浮き彫りになりました。Hさんは、私が愛情深さゆえに、機能不全家族の中で保護者としての役割を長年担ってきたことを指摘しれくれました。これには目から鱗でした。
私は小さいころから、親に甘えられず、親が私に甘えている状態でした。思い返せば、いつも自分が親の愚痴の聞き役で、家庭内での調整役であり、何かあった時には自分が我慢して壊れそうな家族を必死でつなぎとめてきました。
つまり、家族の中で精神的に「親の親代わり」「弟の親代わり」を担ってきていたのです。
だから、いつもしんどかったんだ。気を遣いすぎて、余裕なかったんだ。自分のやりたいことが後回しになっているんだ。
「その役割、手放しませんか? もう十分頑張ってきたと思いますよ」
Hさんは提案してくれました。
その言葉を聞いて、心がス~ッと軽くなるのを感じました。ああ、もう家族のことは考えなくていいや~。自分の人生を第一に生きていこう。脳内で余分なファイルを削除して、使えるメモリの容量が一気に増えたような、すっきりとした不思議な感覚でした。
☆☆☆☆☆
その夜、私は彼氏から、突然プロポーズされたのです。
事前に用意していたという感じではなく、歩いている際にいい雰囲気となり、流れでフッと出てきた言葉のようでした。
「結婚したいと思っている。転勤先についてきてほしい」
何かを手放せば、何かが入ってくる。まさにその通りだと思いました。
しかも、3年間婚活地獄に苦しみ、それでも手に入らなかった、憧れのステータス、そう結婚!(少女漫画のキラキラ感)
ところが、今の私、婚活を辞めてしまって、結婚願望がほとんどない状況です。
これから好きに生きよう、好きな仕事だけをして生きていこうと、足場固めをし始めた矢先。
彼とは交際して1カ月半くらい。結婚とか関係なく、一瞬一瞬をただ楽しく過ごせればいいなと思っているだけでした。
かといって、やっぱり好きな人から一緒にいてほしいと言われたら、そりゃうれしいものです。
でも、海外で働く夢は? 好きなライティングで生きていく夢は? 楽しくて仕方ないカウンセリングの勉強は?
しかも、相手の転勤先は、なんと島!!! なかなか東京に戻れそうにありません。
一体どーするのよ。どーするの、私!?
喜びも束の間、選択肢が増えたことで、頭がさらに混乱してきたのでした……。
(続く)